
2011年12月14日14時から@消防庁舎作戦室
傍聴者人数は不明です。というのも、会議の出席者の随伴者や京都市の職員らしき人等が傍聴席に座っていてどの人が傍聴者かわからない状態です。ちなみに市会議員らしき人(顔うろ覚えのため)が数名。委員の飲み物は湯のみのお茶。テレビカメラが2台入っています。放送局は未確認です。
京都市は本年度中に原子力発電所事故対応暫定計画を策定し、来年度以降に地域防災計画(原子力災害対策編)を策定するそうです。
会議後半の震災についての講演は興味深い内容でした。
これまでの経過。東日本の震災を受けて、5月13日に第1回京都市防災会議が開催され、京都市の防災対策を見直す「防災対策総点検委員会」の設置が決められました。委員会は6月22日の第1回から本日午前中の第3回まで開催され、その間に19回の部会、2回の専門委員会が開催されました。その報告を受けての今回の防災会議です。(参考:第1回京都市防災会議専門委員会のレポート)
冒頭にこの会議の会長である市長から挨拶。議事進行は由木副市長。総点検委員会の委員長より委員会の報告。ちなみに、本日午前中に開催された総点検委員会の内容は「委員会からの最終報告書のとりまとめ」でしたが、その会議の終了予定時刻は12時でした。予定通りに終了したとして、その2時間後にこの会議が開始しています。もし何らかの修正があれば、文言の修正、内部での確認、委員への確認、修正版の資料の印刷、と事務局は相当ハードな作業になったはずです。みなまで言いません。
報告後、委員長から市長に報告書が手渡され、写真撮影。議題の1つ目は終了。
議題2つ目の「京都市原子力発電所事故対応暫定計画の策定等について」です。
京都市は、原子力災害対策特別措置法によって、地域防災計画を定める事になる予定です。(参考:原発事故重点対策:国方針受け、府「30キロ圏に拡大」 市町も計画変更必要 /京都)総点検委員会において、計画案策定まで進めるのだと思ってましたが、実は、総点検委員会では原発についても触れたものの、対応計画までは踏み込んでいません。報告書に、早急に計画を定めるべきと盛り込まれ、箇条書きに提言がある程度です。京都市が委員会にそこまで求めていないので当然と言えば当然です。
また、国の方針が決まったのも、先月の最後の専門委員会より後だったので、最終報告に間に合わなかったというのもあります。もし、今日午前の委員会でそれが出ていれば、修正が間に合わないですし。なので、防災会議の下に原子力の専門部会を新たに設置し、来年度以降に地域防災計画(原子力災害対策編)を策定するそうです。
その代わり、という書き方も変ですが、冒頭に書いた通り、対応暫定計画が今年度中に定められるそうです。暫定計画に当たって検討すべきは以下の事項とされています。
- 防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲等(UPZの左京区北部の久多と広河原。PPAは国次第)
- 環境放射能等モニタリング体制(市内は左京区北部、上京区、伏見区南部に各1ヵ所ずつ増設予定。体制にはSPEEDIの予測情報の入手も含む)
- 住民等の安全を確保するための体制づくり
- 広域的な連携体制の整備(滋賀県は記述されていませんでしたが、専門委員から追加した方が良いとの意見あり)
- 住民等への情報伝達及び知識の普及と啓発
- 風評被害の影響の軽減
- 原子力防災対策のための組織体制の整備
- 琵琶湖の放射能汚染への上水対策
参考までに「京都市防災会議専門委:原発事故対策「市の暫定計画必要」 /京都」から一部引用します。
原子力や地震の専門家が災害時の対策を考える京都市防災会議専門委員会が16日、同市中京区の市消防局であった。国が新たに設定する方針のUPZ(緊急防護措置区域)に同市左京区北部が含まれるため、原発事故に備えた対策を、市が暫定計画としてまとめるべきだとの意見で一致した。
このあたりで、報道関係者は大半が退席。
議題の3つ目は「平成23年度京都市地域防災計画の修正について」ですが、事務的な手続きによるものなので特筆する事はありません。
予定の半分以下の時間で議題が終了したため、総点検委員会の専門委員会の専門委員から意見を求める事に。
専門委員:何をどこまで想定するかは大変。京都の水は北山と琵琶湖が水源。費用面から、ハードをやめてソフト対策にする」ではなく、何が出来るか等のシミュレーションはすべき。火災の避難困難地域マップ策定や、消防が対応しきれない場合の火災の広がり具合のシミュレーションがあれば、専門委員会からも避難計画の見直しがしやすい。現在出来ている対策のシステムの弱点がどこかという事を机上ではなく実地で確認し見直すべき。
専門委員:防災研究者からすると、想定外と聞くのは嫌な事。「想定値は施策や施設構築のための目標値。想定値をこす事態は起こる!」想定値を定める人は想定を超える事を踏まえるべき。専門家が想定外と口にするのは、本来考える事をわきまえていないのではないか。東日本の震災まで想定されていたのは「東北太平洋沖では、個別もしくは2つくらいのエリアの断層が動く」ということ。余震からすると、今回起きたのは岩手から茨城まで4つのエリアの断層が連動した。東海、東南海、南海地震による被害想定は見直すべきという意見があるが、そうかえる必要は無い。既に広いエリアでの同時の地震の発生を踏まえて想定している。メディアは、それぞれの地震で想定している事をよく理解した上で、発言してほしい。(ちなみに、この時点で新聞もテレビも、マスコミは退席orウトウトしていました。残念です)東北は広い範囲で地震が起きたが、陸からは離れていた。内陸の地震は、狭いけど大きな被害が出る。京都はそういう立地ということを認識すべき。ただ、内陸の活断層の地震発生確率が低いからと安心材料にしてはならない。1つの活断層の地震は数千年に1回起きるような頻度。30年に1回起きるかどうかの確率は当然低くなる。しかし近畿には多数の活断層があるので、いつ起こるか分からないので、そのつもりで早め早めに対策をすべき。想定を超えた事態が起きた時の対処が「危機管理」。それを考えるのが災害対策の専門家。ハードな対策や施設で押さえ込む事は困難。事後にソフト面でいかに被害を少なくするか、が重要。西日本の地震の活動期では、南海地震が起きる前に必ず内陸で地震が起きている。そして今、活動期に入っている。
専門委員:乱暴に読み解くと、PAZは、何かが起きた時に数十年元に戻らないエリア。UPZは避難すべきエリア。PPAは屋内避難すべきエリア。