
久々の京都会館ネタです。
※末尾に追記(2012.9.17)
京都会館の建築的価値の検証も済んだことになり、8月29日に実施設計・建築業者を決定、今月から解体を開始するという段階の京都会館について海外から8月12日付で意見書が送られてきました。
送り主は「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の専門委員会「20世紀遺産に関する国際学術委員会」。世界遺産登録の審査や監視活動を行っている組織で、ユネスコの諮問機関だそうです。
そうなると気になるのが意見書の内容ですが、京都会館を「20世紀の最も重要な日本人建築家の一人である前川國男による素晴らしい作品で文化遺産」と評価し、建て替えは「取り返しのつかない害を及ぼし、美と調和を破壊する」として、ウェブサイトを通じて国際的に注意を喚起する「遺産危機警告」を発令し、市に再考を求めたそうです。(参考:毎日新聞「京都会館:「文化的価値」イコモスが意見書 建て替え懸念」及び産経新聞「京都会館改修に意見書 ユネスコ諮問機関、見直し求める」)
京都市の反応はどうだったのでしょうか。
京都市会の委員会で市議が市の担当者に質問したそうで、そのやりとりが京都の共産党が出している新聞、京都民報「京都市理事者「勝手に視察」「一方的な結論」 イコモス「警告」に暴言次つぎ」に少し出ています。
多少省略されているので、記事にある発言の前後も知りたいところですが、市会委員会での発言記録を閲覧出来るのは1ヶ月ほど先。まてないので想像で考えてみます。
1番気になったのが、パリ本部から日本の組織を通さず直接送ってきたらしいことです。ひょっとしたら手続き的手順を踏むのは面倒だからと言って手抜きをしたのかもしれませんが、おそらくは解体が始まる直前だという緊急性、また建物の価値に対する熱い想いからの勢いなのでしょう。
海外の権威あるっぽいよくわからない組織には、半ば盲目的にすげぇと思ってしまいがちな私からすると、もうこれは改修を一時ストップして検討し直すべきでしょう、と思いますが、先ほどの記事の発言内容から察するに、今更段取りを変えたくないというのが京都市側の本音なのでしょう。
2012.9.17追記:京都市が「「イコモス20世紀遺産に関する国際学術委員会」からの意見書及び日本イコモス国内委員会の見解に対する本市の対応」を公開しています。