2012年09月10日

京都会館改修にユネスコ諮問機関が「STOP!」

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久々の京都会館ネタです。

※末尾に追記(2012.9.17)

京都会館の建築的価値の検証も済んだことになり、8月29日に実施設計・建築業者を決定、今月から解体を開始するという段階の京都会館について海外から8月12日付で意見書が送られてきました。

送り主は「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の専門委員会「20世紀遺産に関する国際学術委員会」。世界遺産登録の審査や監視活動を行っている組織で、ユネスコの諮問機関だそうです。

そうなると気になるのが意見書の内容ですが、京都会館を「20世紀の最も重要な日本人建築家の一人である前川國男による素晴らしい作品で文化遺産」と評価し、建て替えは「取り返しのつかない害を及ぼし、美と調和を破壊する」として、ウェブサイトを通じて国際的に注意を喚起する「遺産危機警告」を発令し、市に再考を求めたそうです。(参考:毎日新聞「京都会館:「文化的価値」イコモスが意見書 建て替え懸念」及び産経新聞「京都会館改修に意見書 ユネスコ諮問機関、見直し求める」)

京都市の反応はどうだったのでしょうか。

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posted by 吉永ゆうき at 23:27 | Comment(0) | 建築・景観

2011年11月22日

京都会館のこれまでの経過

京都会館は、24年度より大幅な建て替えを含む改修が計画され、それに反対する動きも生まれています。

前川國男氏の設計により1960年に建てられた京都会館は、府内唯一の2000席規模のホールとして様々な催しに利用されてきました。建設当時の市民から、数十万円の寄付金とともに市民ホールの建設を要望する署名が提出され、それを受けて「観光税」が創設されての建設でした。そのあたりの経緯は、京都市会の記録や「京都会館の5年」という本に詳しいです。

開館から50年以上経ち、「段差が多い等の不十分なバリアフリー対応」「防災設備の現行法への不適格」「舞台設備の老朽化」「トイレの不足」「会場規模や舞台設備を根拠として全国ツアーに利用されない」「舞台の奥行きが狭い」「レストランが2階なので利用しにくい」「券売所が屋外なので雨天時等に利用しにくい」「搬入や施設利用予約がしにくい」等の課題が指摘されていました。

これまでの経過ですが、まず2002年に耐震調査が実施され「一定の補強工事を実施することで,当時の耐震基準に適合する」との結果が出ています。

2004年度には「施設の劣化度調査」が実施され、設備や仕上げ材については劣化や老朽化が見られるが、「構造躯体は比較的良好な状態が保持されていた」との結果が出ています。また、同年策定された「京都市基本計画第2次推進プラン」に「京都会館の再整備構想の策定」(第2章第1節2。政策項目実施状況)が盛り込まれています。

2005年から2006年にかけて「京都会館再整備検討委員会」(京都会館再整備検討委員会の摘録)が設置され、「京都会館再整備の基本的な方向性に関する意見書」が取りまとめられました。再整備検討委員会には市民委員の公募(PDF:9.8KB)も実施されています。

2007年には「京都会館再整備構想策定に係る市民アンケート」が実施されました。このアンケートは、岡崎エリア及び文化芸術について、総合的多面的な設問が並び、京都会館の再整備計画については具体的な言及はありません。また、この年につくられた市の新景観政策により、京都会館の場所は15mの高さ制限が設定されました。

2009年には、これまでのアンケートや意見書等をもとに、「京都会館再整備基本構想素案策定調査業務」が日建設計大阪オフィスに外部委託されています。業務委託料は未確認ですが、仕様書では上限が3600万円となっています。契約は2010年3月末までです。この業務の成果である「京都会館再整備基本構想素案」は、ウェブ上では見つかりませんでした。

2010年には、「岡崎地域活性化ビジョン検討委員会」が設置され、京都会館を含む岡崎エリアのビジョン策定が進められました。

2010年12月13日の第3回のみに「オペラ」の文言がでてきます。(「第3回岡崎地域活性化ビジョン検討委員会」)これは、第2回までの検討委員会の議論をもとに検討委員会の下に作られた「作業部会」によって作成された「ビジョン(案)中間まとめ」案の中の表記についての意見です。その中間案に「世界一流のオペラの開催」という文言が出て来ています。(「岡崎地域活性化ビジョン(案)」中間まとめ(案)

吉永ゆうき的視点:京都市市民参加推進条例で審議会の議事録の作成及び公開が明記されているが、下部組織の部会の公開や議事録作成については明記されていない。これまで市のいくつかの審議会で、作業部会(もしくは作業PT)が非公開となっていた。

2010年12月24日の日経新聞夕刊に「京都に国内最大級オペラ劇場 市方針、事業費100億円」という記事が掲載されました。

吉永ゆうき的視点:この記事で唐突にオペラが出て来たと認識されている方もいるようだが、「オペラ」の文言は第3回の検討委員会で既にでていたので、この日経新聞の記事の注目すべき点は「事業費100億円」及び「13年度着工、15年度開業」だと感じる。

第3回までの検討委員会の議論をもとに、「岡崎地域活性化ビジョン(案)」中間まとめが取りまとめられ、2011年1月12日から2月10日までパブリックコメントが実施されました。パブリックコメントの実施結果

2011年2月8日には、読売新聞と京都新聞にて、「京都会館」命名権を市内の半導体大手「ローム」に50億円で売却すると、市が発表した事が報じられています。上記岡崎ビジョンのパブコメでもそれに触れた意見が出ています。

2011年1月25日から2月24日に京都会館再整備についてのパブリックコメントが実施されました。(京都会館再整備に関する市民意見の募集資料及び京都会館再整備についてのパブリックコメント結果

2011年2月23日には、2020年の京都の舞台芸術環境を考える会主催の「京都会館再整備に関する意見交換会」が開催されています。(ustreamその1その2その3

2011年5月23日に「京都会館再整備基本計画案」の策定が広報されました。

2011年6月の市民しんぶんで「京都会館再整備基本計画」の策定が広報されました。

そして基本設計が香山建築研究所により開始され、同時並行で「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」が設置され、2011年10月4日に1回目の委員会が開催されました。

吉永ゆうき的視点:ロームとの契約の中で、意匠における条件はあるのか。なぜ基本計画案はA、Bの2案だけしかなかったのか。高さ規制に従って上に伸ばさず、地下に掘り下げる事はできないのか。

1回目の委員会も傍聴しましたが、既に第1回価値継承検討委員会の議事録や配布資料が公開されているので、傍聴レポートは省略し、以下の簡単な説明にとどめます。

価値継承検討委員会の委員は、まず大学のセンセイが3人。京都の建築家・建築士団体代表が2名。他に地元自治連合会会長、新国立劇場運営財団技術部長(欠席)。そして京都会館を設計した前川氏の前川建築設計事務所から所長が出席。基本設計を担当する香山建築研究所から所長と副所長も事務局側で出席。委員のうち2人は日本建築学会からの推薦です。

議論の材料が再整備基本計画と現物の京都会館しか無いため、「私はこういうスタンスで発言します」という表明と「京都会館のこういう点に価値を感じる」という発言がメインで、建物価値をどう継承するかについての踏み込んだ話は、多くありませんでした。また、2回目の委員会に、基本設計の途中経過の図面等が提出される事になりました。事務局からは「圧倒的に賛成をいただいている。誤って理解されている方にはきちんと説明していきたい」という発言もありました。

第2回京都会館の建物価値継承に係る検討委員会のレポートもお読みください。

最後に、2011年10月10日に京都会館第1会議室にて開催された「緊急シンポジウム:京都会館のより良き明日を考える -京都会館の適切な保存改修のために-」で話を聞いた時のメモより、印象的な発言をいくつか掲載します。2011年12月18日13時より京都会館会議場にて第2回のシンポジウムを開催するそうです。

「再整備計画には『自主制作はしません』とあるが、自主制作もしないホールは、巡回オペラから相手にされない」「ロームも1年1億円の運営費として命名権を取得しているが、京都市は建設費に使おうとしている。せっかくもらうのだから、運営費にまわしてもらえれば、市民も使いやすくなる。」「多面舞台ではない再整備計画では巡回オペラがこない事はロームもわかってるだろうに、何も言ってこないのは裏があるのではないか」「第1ホールは建て替え、第2ホールは耐震改修の上で保存なので、西側疎水沿いのひさしがどこかで途切れ、エキスパンジョン処理されると見られる」

posted by 吉永ゆうき at 22:06 | Comment(0) | 建築・景観

2011年03月16日

東山に計画されている高級外資ホテルで板挟みの京都市

日経新聞の「フォーシーズンズホテルが京都進出 14年開業目指す」によると、世界的に有名な高級ホテルチェーン、フォーシーズンズホテルアンドリゾートが、京都市東山区にある「東山武田病院」の敷地を賃借して、2014年2月のホテル開業を目指す方針を固めたそうです。

東山武田病院は、以下のGoogle画像の通り東山通に面していて、国立美術館や三十三間堂の近くにあります。 googlemap.jpg Google Mapで見る
ストリートビュー googlestreet.jpg

京都市では、2010年3月に策定した「未来・京都観光振興計画2010+5」にある通り、観光分野において「世界的な知名度の高いホテルの誘致」や「ラグジュアリー層に対する誘致の強化」にも力を入れることにしています。今回のフォーシーズンの計画も大歓迎だと思います。

一方、先ほどの日経の記事の中で気になるのが「敷地の一部は現在、京都市の用途規制によりホテルなどを建設できない。市は外国人観光客を誘致するため、用途規制を外す特例での建設許可を検討するとみられる。」という部分です。

用途規制とは、用途地域による用途の制限と言って、エリアごとに相応しい土地の使われ方を定め、より良い土地の使われ方を誘導する規定です。確認したところ、この敷地は「第一種中高層住居専用地域」「第5種風致地区」であり、第一種中高層住居専用地域は「中高層住宅の良好な住居の環境を保護するための地域」で、ホテル・旅館の建設ができません。 用途地域及び高度の指定 yoto_kodo.gif 景観施策による指定 keikan.gif

日経の記事にある「特例」は、この用途地域を変更し、ホテルを建てられる状況にするということですが、京都市は新景観政策を推進するため、個別の敷地での細かい変更は慎重になっています。不動産業界から異論が出つつも、より良い空間をしっかり整備していくことで、土地や建物の価値を高めようという意図を頑にしています。その前提となるのが、将来にわたって新景観政策の通り建設が進められるということです。お互いに少しずつ譲り合って我慢しあって良い空間が出来るはずが、後からコロコロ変わるというのでは、良い空間は生まれ難くなります。また1回だけなら、と「特例」を一度出してしまうと、その後「特例」が出やすくなります。(参考記事:「京都市景観規制 不動産取引での影響は/京都」毎日新聞)

吉永ゆうき的視点:観光と景観、どちらを優先するのかは難しい所ですが、京大病院、山ノ内、京都会館で特例を出してきた様に、京都市は「特例」を認めることになると思います。そしてズルズルと新景観政策が骨抜きになるか、不動産業界からの反発が強まる様にも思います。

(2011年3月22日22時21分追記)
posted by 吉永ゆうき at 14:04 | Comment(0) | 建築・景観

2007年04月19日

平成19年度第1回景観専門小委員会の開催が告知

京都市情報館広報発表のページで、平成19年度第1回景観専門小委員会の開催が告知(PDF)されています。
posted by 吉永ゆうき at 15:24 | Comment(0) | 建築・景観

2007年04月14日

京都市木造住宅耐震改修助成制度の説明が更新

住宅室住宅政策課の京都市木造住宅耐震改修助成制度のページで、京都市木造住宅耐震改修助成制度の説明(PDF)が更新されています。
posted by 吉永ゆうき at 12:16 | Comment(0) | 建築・景観

2007年04月11日

平成19年度第1回京都市美観風致審議会の開催が告知

都市計画局都市景観部景観政策課・市街地景観課のページで平成19年度第1回京都市美観風致審議会の開催が告知(PDF)されています。
posted by 吉永ゆうき at 10:55 | Comment(0) | 建築・景観
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